【JR上野駅公園口】

柳美里さんがデビューした頃は、その出自や多少スキャンダラスな
面と相まって、私は彼女の作品を手にすることはなかった。
語られている評価云々というよりは、全くの個人的な
独断と偏見でしかない。
しかし、様々な逆境を乗り越え、或いは踏み台にして
着実に賞を取り、文学の才能を頭角してきた。
その集大成といっても良い「全米図書賞」を受賞した。
2018年には多和田葉子さんが受賞している。
多和田さんの図書は「海に落とした名前」が大好きな
小説で、最近の本も読みたいところだった。

さて「JR上野駅公園口」は、かつて文学者があまり立ち入らなかった
「ホームレス」にブルーシートを上げて、段ボールハウスに
「失礼します」と訪れた感が強い。とかく、この手の内容は
ドキュメンタリーになりそうだが。
東京オリンピック前年の昭和38年12月27日、男は出稼ぎのため、常磐線に乗って上京した。昭和天皇が皇太子時代に狙撃された虎ノ門事件から40年目の日であった。それから息子が死に、妻が死んだ。帰郷していた男は、孫娘に面倒をかけるのが耐えられなくなり、再び上京して上野恩賜公園でホームレスになる。
 平成18年11月20日、現天皇と現皇后が上野の日本学士院を訪れるのに先立ち、「山狩り」が行われた。ホームレスの暮らす「コヤ」が立ち退きを迫られたのだ。男は、自分と同じ年齢の天皇が皇后と車に乗り、手を振っているのを見て、反射的に手を振り返す。その瞬間よみがえったのは、昭和天皇を原ノ町駅で迎えたときの光景であった。
 天皇、皇后が外出することを行幸啓という。行幸啓は、明治から敗戦までの天皇制を継承するものだ。民主主義という名目のもと、ふだんは見えない天皇制の権力が露出するとき、その権力は本書の主人公のような、排除される側の人々すらも熱狂の渦に巻き込んでゆくのだ。
 そしてあの震災が起こる。故郷は津波にのまれ、男は帰るべきところを失う。東京オリンピックの開会を宣言する昭和天皇の声が男の胸に迫る。男にとって、天皇制の呪縛から逃れるには、もはや命を絶つことしか残されていなかった。暗く重い余韻がいつまでも消えない小説である。「読書好日抜粋」


時系列に書かれていないので、時々年代と主語が
掴み損ねてしまう。
柳美里さんが、大震災後に福島県に移住した理由は
何だったのだろうか?
柳美里さんが体験した根っこには福島県の人々が
被った理不尽さへの共感なのだろうか?
少し時を経て再読しるような気がするが・・・
でも、心がしんどくなるので・・・
私の生まれ、育った新潟県はかつては「裏日本」と
言われた。東京へ行くには4時間ほども乗り、
清水トンネルを超えると、川端康成「雪国」の
世界そのもので、関東の冬晴れが拡がっていた。

閑話休題
公園のホームレスたちに、まず、大規模な住む処を
設え、それは公園内の本来の景観を維持するために。
そして、その人に応じた仕事を政府&民間で作り出す。
お金が入った人からは多少でも家賃を取る。
なんてことは出来ないのだろうか?
「ホームレス」という言葉を無くしたいと思う。
「山狩り」なんていう言葉で一時凌ぎで排除する
のではなく。もしも、私が東京都知事ならネ!
「衣食住」というけれど、まずは「住・食・衣」
ではないのか。
何故貧しくなるのか?
そこから考え直さなければ。

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