【なずな  堀江敏幸著】を読む

騎士団長殺し」を読んだ後は、兼ねてより読みたかった「なずな」を手にすることができました。
村上春樹の世界とは真逆のような世界と言える堀江敏幸の世界。
文章が奇を衒うことなく、センテンスは長いのですが、それでも、読んでいて疲れない。

「なずな」 堀江敏幸 2011年5月刊 
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堀江敏幸   1964年生まれ  東京大学仏文科卒業
授賞暦
1999年 - 第12回三島由紀夫賞 (『おぱらばん』)
2001年 - 第124回芥川龍之介賞 (『熊の敷石』)
2003年 - 第29回川端康成文学賞 (『スタンス・ドット』)
2004年 - 第8回木山捷平文学賞 (『雪沼とその周辺』)
2004年 - 第40回谷崎潤一郎賞 (『雪沼とその周辺』)
2006年 - 第57回読売文学賞 小説賞 (『河岸忘日抄』)
2010年 - 第61回読売文学賞 随筆・紀行賞 (『正弦曲線』)
2012年 - 第23回伊藤整文学賞 (『なずな』)
2013年 - 第11回毎日書評賞 (『振り子で言葉を探るように』)
2013年 - 第66回中日文化賞
2016年 - 第69回野間文芸賞(『その姿の消し方』)

2011年「本の雑誌」ベストテンで第1位になっています。

好きな作家と言いつつもそれほど作品は読んでいなかったことを再認識して嘆かわしいと反省。
今月の読書会の課題図書に、私の推薦書が選ばれたのを機会に、もうちょっと「ファン」らしく
読み深めたいと思いました。

膝の故障が幸いにも読書の時間を与えてくれました。
厚さ3.5cm  436頁の分厚い本が遅読の私でも3日で読めました。

地方地域密着型「育児」小説と言える。40代半ばの独身の私が東京での暮らしと仕事に疲弊して
生まれ故郷の地方都市に移り、地方密着型地方新聞の在宅記者となって、外国で交通事故に遭い
現地で治療中の弟と、原因不明の難病になり、彼女の実家がある地方都市で闘病中の弟の嫁さんに
代わり、二ヶ月半の「なずな」を引き取り、仕事場の社主、同僚、住んでいるマンションの大家さん、
近所の小児科医と、離婚して実家に戻り戻ってから看護師の資格をとって父親の医院で
働いている友栄さん、他にも近所の飲み屋ママや、諸々の地域の人々との支援、交流などの日常が
書かれています。架空の地方都市は堀江敏幸の故郷、岐阜県多治見市か中津川市と想像され、
高速道路から分岐する環状線やインターチェンジ近くの巨大ショッピングモールなどが近辺で
それらしいものがある。
地方都市が抱える地域の様々な問題点、或いは行事、或いは予防接種等々、
私は仕事にも人々にも恵まれ、なずなの朝と夕でももう成長の兆しが認められる「彼女」に
生きていることの素直さ、美しさを実感する。

堀江敏幸が配偶者がいるのか?子供はいるのか?
私生活は??ですが、居ないとすると、これだけの育児メモはモデルがいたのだろうか?

「なずな」をいう時には「せり・なずな・ごぎょう・・・・」の「なずな」ですと言う。
近所の小児科医の愛称ジンゴロ先生(佐野甚五郎)は「七草」という。

村上春樹のようなおしゃれな店もおしゃれな車も出てこない。
でも「なずな」の二ヶ月半からの成長、ミルクの飲み方、喃語の発し方、ウンチの仕方、量、匂い等々
読者も一緒になずなを育てていると言う感じになる。

映画、ドラマになると面白いと思う。
私は「西島 秀俊」友栄さんは深津絵里、ジンゴロ先生は西田敏行、ジンゴロ先生の奥さんは宮本信子などなど
配役を考えると楽しい。

【ぼくが ここに いるとき
ほかの どんな ものも
ぼくに かさなって
ここに いることは できない】
まど・みちお

まど・みちおさんの詩が時々引用されている。

ラストは想像、期待通り、明世さんの病状が治まったので、自宅に帰ることが出来て「なずな」が帰る日が決まる。
ドイツで治療中の弟を、私は見舞うことも出来る。
はっきりとした意思表示はないが、友栄さんと私は「良い関係」を築けそうだ。

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この記事へのコメント

しゃくなげいろ
2017年06月15日 06:00
おはようございます。堀江敏行の本はいつもサラッとして、登場人物がオイラの周りにも見つけられるようなどこか懐かしい思いに浸れるステキさを感じますね。
2017年06月15日 08:59
しゃくなげいろ様
堀江敏幸はメディアには余り出ないので、知らない人、読んだことが無い人も多い作家ですが、文章が美しいですね。爽やかな風のような文章に出逢うと、草原とか高原の風を思い起こします。