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zoom RSS 「春にして君を離れ」

<<   作成日時 : 2017/03/14 14:22   >>

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「春にして君を離れ」 アガサ・クリスティー著 
読書会「ぶっくもあ」 今月の課題図書でした。

アガサ・クリスティーと言えば、本を読んだことはなくても、ミステリー作家として名前は超著名です。
ミステリーは殆ど読みません。特に海外ミステリーは。時々は読みたくなる時もあるのですが、
読めば嵌るような気がして避けていました。

ところが、アガサに関して、全く無知でありました。

メアリ・ウェストマコット名義でロマンス小説として6冊上梓しているのです。
1930年 愛の旋律 (Giant's Bread)
1934年 未完の肖像 (Unfinished Portrait)
1944年 春にして君を離れ (Absent in the Spring)
1947年 暗い抱擁 (The Rose and the Yew Tree)
1952年 娘は娘 (A Daughter's a Daughter)
1956年 愛の重さ (The Burden)

「春にして君を離れ」
優しい夫、よき子供に恵まれ、女は理想の家庭を築き上げたことに満ち足りていた。
が、娘の病気見舞いを終えてバグダッドからイギリスへ帰る途中で出会った友人との会話から、
それまでの親子関係、夫婦の愛情に疑問を抱きはじめる…女の愛の迷いを冷たく見据え、
繊細かつ流麗に描いたロマンチック・サスペンス。
と言うのが内容の概要です。
                      
娘のロザリンド・ヒックスが書いています。
先に挙げた6冊のミステリーではない著書は15年間も別人として隠し通したと言います。
今回の課題図書「春にして君を離れ」はアガサ・クリスティーとしてのさまざまな才能が発揮されていて、
構成も見事で、ぐいぐい読者をひきつけて一気に読ませます。

心理ミステリーとも言える作品で、砂漠の閉ざされた、見るべき本も無く、観光ももちろんない場所で
向き合うのは夫、子供達、偶然出逢った友人との関係を過去の眼と内なる自分を見つめる眼との
二つの眼で観て、思考する主人公の心理が詳細に書かれています。

タイトルの「春にして君を離れ」は文中ではシェークスピアのソネット(14行詩)とだけ書かれていて
詩の内容には触れていません。

シェイクスピアのソネット98 From you have I been absent in the spring(壺齋散人訳)
  春の間私は君と離れて過ごした
  誇らしげな四月は色鮮やかな装いのうちに
  萬物に青春の息吹を吹き込み
  陰気なサターンでさえ笑いかつ踊ったほどだ
  だが鳥たちの歌声を聞いても 
  色も香もとりどりな花の匂いをかいでも
  私はさわやかな話をする気になれなかったし
  ほころびた花を摘み取る気になれなかった
  白い百合の花を見ても心動かず
  深紅のバラを見ても素敵だと思わなかった
  それらはただ甘いだけ その姿は君を真似しているだけだ
  君はあらゆるもののお手本なのだから
  私にはまだ冬のままに思える だから君がいないなら
  これらを君の影だと思って戯れ遊ぼう


たんなるロマンス小説で終わらないところがさすがミステリーの女王たる筆致が伺えます。
読書会に参加して良い意味での最大の収穫は、課題図書でなければ、一生涯手にしなかった
作家、作品を読む機会が与えられること。
死んでも(??)読みたくない作家、作品であったら、参加をパスすれば良いのですから・・・

本作品が書かれた年代は日本では昭和19年。
物語でも後半はイギリスにも戦争に突入した気配が書かれています。
ですが、当時の日本では想像すら出来ない母親と娘との葛藤が現代でも通じる内容で書かれています、


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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
シェイクスピアのソネットは難解ですね。異様に盛り上がる読書会に鼻から腰が引けてしまいました。(笑)
しゃくなげいろ
2017/03/20 07:19
しゃくなげいろ様
読書会参列お疲れ様でした!
腰が引けましたか!
サットした読後感を言うだけの人もいますし、
かなり突っ込んだ見識を述べる方もいますし・・・
まぁ、自分の持てる情報が薄いので、少しでも何か学ぶことができれば、と思って参加しています。
のりこ
2017/03/20 16:21

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