【コンビニ人間】

コンビニ人間 (文春文庫) - 村田 沙耶香
もう6年前ほど前、村田沙也加が芥川賞を受賞して、
タイトルと、彼女は実際にコンビニ店員を大学卒業してから
続けていたということが話題になり、手にとってはみたが
未読のまま数年が経過した。
では何故、今読んだのか?過去のインタビューでの様子や
新刊のタイトルと内容に興味を抱き、そいえば「コンビニ人間」を
読んでみたくなった。
「食わず嫌い」というなら「読まず嫌い」ともいえるのは
私の悪い癖かもしれない。
コンビニエンスストアは、音で満ちている。
客が入ってくるチャイムの音に、店内を流れる
有線放送で新商品を宣伝するアイドルの声(中略)
店内に散らばっている無数の情報を拾いながら、私の身体は
納品されたばかりのおにぎりを食べている。中略 
スピードが勝負なので、頭はほとんど使わず、私の中に
染みこんでいる。ルールが肉体に指示を出している。
或る批評家がとても面白かった!と絶賛していた訳が納得できた。
村田沙也加はなんか、言い方はよくないが、サラッとして実は
とても人間の奥深い層にグサリとメスを差す。
村田沙也加ご本人は本当は気楽な貞を成しているが、
「実はそうではないのだよ!」とサラリと笑顔で言っているようだ。
コンビニで発生する音は時々しか利用しない私にも馴染の音たちだ。
そして古倉(ふるくら)恵子がコンビニを卒業する日、
彼女が聴いた音は「身体の泡を流し終え、きゅっと
蛇口をひねると、久しぶりに耳が静寂を聴いた。
もうドアを開ける音、定員が「いらっしゃいませ」という音、
かつては古倉恵子もそれらの発信源だった音が、耳に入ってくるのは
「静寂」だったのだ。
「聴こえない」のではなく「静寂を聴く」とは上手い表現だ!
部屋の中には白羽さんの声や冷蔵庫の音、様々な音が
浮かんでいるのに、私の耳は静寂しか聴いてなかった。
私を満たしていたコンビニの音が、身体から消えていた。
私は世界から切断されていた。
でも、ラストは読者の期待を裏切らないかのごとくに、古倉恵子は再度自分を再生して
くれるべき「コンビニ」の世界へ向かっていくのだった。

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