【ことり】を読む

「ことり」 小川洋子著 朝日文庫

平成24年度 芸術選奨文部科学大臣賞(文学部門)受賞

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人間の言葉は話せないけれど、小鳥のさえずりを
理解する兄と、兄の言葉を唯一わかる弟。
二人は支えあってひっそりと生きていく。
やがて兄は亡くなり、弟は「小鳥の小父さん」と
人々に呼ばれて・・・・。
慎み深い兄弟の一生を描く、優しく切ない、
著者会心の作

取り合えず購入して本棚に収まったままになっていた。

自分が日々、疲弊している時には、メッセージが柔らかな世界に

浸りたいと思う。

そうした雰囲気は十分に浸ることが出来た。

現実問題として、想像できるような、かと言って、有り得ないよね!

とも思えるような小川洋子さんの「様々な境遇の人へ向けた」柔らかい眼差しを

感じる。

通勤の往復のバスで、お昼を食べ終わった後の僅かな時間だけが

今の処の「私の読書時間」だ。昼休みは幾つかの「仲良しグループ」で

お話したり、そうしたグループに属さない人は、

机にうつ伏して仮眠したり・・・

私のように本を読んでいると「〇〇さんは、本が好きなのですね!」

と声掛けられて「お薦めの本はありますか?」と聞かれる。

そんな時に「ことり」を薦めた。

兄が言ってみれば、人間の言葉を話せない、理解できない。

それは「障害」であるのだが、家族はそっと見守るだけだ。

小鳥と会話でき、小鳥の話すことは理解できる兄を

弟は理解できる。弟は兄の意志を継ぐかのように小鳥と接する人生を送る。

現代の「おとぎ話」のような世界だ。「普通」に生きている人間が冷たく、

詰まらなく思えてくる。

【むらさきのスカートの女】を読む

BIGLOBEのブログ作成の方法がリニューアルして、私のような高齢者には

慣れるには月日が掛かる。掛かるというか、慣れない。

慣れない現実は、私の周辺で多くあり、それらと向かい合うことで

日常が「疲弊」している。

でも、ブログは、私の唯一の発信手段であるので、ボチボチと継続していく。

仕事の場は、一旦逃げた場とは違う、別の意味で疲弊していく感情から

逃れられない。

そんな日常の時間の隙間で唯一の慰みは「本を読むこと」だ。

【第161回 芥川賞受賞作】むらさきのスカートの女



随分前に「こちらあみ子」を読んだ。

一風変わった雰囲気は好きになったのだが、月日が経つと詳細は忘れている。


芥川賞受賞というけれど、正直、少し失望した。

読書メーター(書評)でも、多くの方が書いているが、

「わたし」と「むらさきのスカートの女」が実は、

「わたし」の妄想人物ではないのか?

同一人物ではないのか?

そして、ラストは又、雑で終わってしまう。

読者に見破られないように、いきなり読者は放り出された感が強い。

もっとも、作者は手の内を全て曝け出す必要はないのであって、

読者は薄々覚悟していた。

とは言え、放り出されると少し、ムッとする。

でも、放り出された読者は(私は)今村夏子を再確認する為に

ちくま文庫を購入してしまった。