【Bunkamuraへ行って来ました】

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10月が終り、11月に入りましたが、私にとっては、山記事を書く余裕は無く、正にいろいろな諸事に
想い悩み心が荒んでいました。

そんな殺伐とした日々の中で、正に忘れていた、というか当てにもしていなかった「棚からぼた餅」が
落ちてきました。

中村文則は私が好きな現存する作家の5人の中に入るくらい好きです。
最新刊「私の消滅」を読み終えた頃に、ドゥマゴ文学賞を受賞したことをネットで知りました。
ドゥマゴ文学賞のことは知ってはいましたが、出版社主催の文学賞や「芥川賞」「直木賞」のように
あまりメディアで派手に話題になることもありません。
その授賞式に招待をネットで申込みしたのが当たったのです。

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脳と精神の物語を、直接脳に流し込まれた気分。
中村文則を語る上で、よく「悪意」という言葉が上がるように思う。
『私の消滅』もまた悪意の連鎖が展開に大きく関わってくるが、それ以前に日常風景レベルで悪意の描写が異様に上手い。
日常生活におけるほんの些細な悪意。
例えば、タバコを道に捨てる人間の悪意。それに対して死ねと思う敵意。クラスメイトの一人が先生に怒られているのを見て図らずも感じた優越感。
そんな普段気にも留めない程度の悪意を丁寧に掬い上げられサラリと並べられようものなら、中村文則の悪意への敏感さやアウトプットの自然さに舌を巻くと同時に、概ね平穏に思われたこれまでの僕の人生も一体どれほどの悪意の中にあったのだろうかと、呑気な思い出への懐疑心もわいてくる。
人の頭はそんな事で揺らいでしまうほど脆い
「本の話」書評より抜粋

選考委員は亀山郁夫氏。ドストエフスキーの研究者で、新訳も出しています。

10日に招待のメールが来て、13日は午後から休暇を取りました。
大急ぎで自宅に車を置き、電車で新潟駅へ。
新幹線に乗るのは何年振りでしょうか?
娘が結婚して埼玉へ移ってからは、都内へ行くことも無くなりました。
本当に「おのぼりさん」です。東京駅に着いてからの山手線の乗る方向、
渋谷駅に着いてからBukamuraへ行く道順を調べて、新幹線に乗ってからお弁当を車内で食べ旅行気分です。

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私が招待されたのは一般応募なので、授賞式の前の亀山氏との対談のみで「授賞式」には列席できなかったのですが、対談を終えてからは、殆どの人が受賞式会場へ移動していたので、関係者か特別な人なのでしょう。
対談会場は地下ミュージアムに椅子を並べたこじんまりした部屋です。
私はカメラ席の隣の最前列に座ることができました。
何となく、顔ぶれを見渡すと、中村文則の敬愛者と言うよりも、セレモニーとして着飾って来ている感じで
「土の中の子供」など読んでもいないと言う人が多かったですね。

「私の消滅」はこれまで私が読んできた作品以上に内容が入り組んでおり、ともかく一読したと言うだけでは
深い理解は得られなく、「再読必須書」となりました。
デビュー当時から中村文則は、苦労も無さそうな青年が、何故地下に埋まった危険物を掘り起こすような、
普段は薄く覆われていて眼に触れずに済んでいる「人間の悪意」を掘り起こしているのだろうか?
それは、多くの人々がそうであるように、大先達のドストエフスキーの洗礼を受けたからなのでしょうか?

「オーチャードホール」「シアターコクーン」「ル・シネマ」の文化の殿堂は
新潟の「田舎者」には羨ましい限りの場でした。

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