のりこの山と本の記録

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zoom RSS 「2006年の涙」と「笑う警官」そして「掏摸」

<<   作成日時 : 2010/01/16 04:55   >>

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昨日、142回直木賞、芥川賞が発表されました
芥川賞は受賞者なし。
直木賞は佐々木譲「「廃墟に乞う」白石一文「ほかならぬ人へ」の二人。

芥川賞は、作家としての資質、将来も書き続けていける能力云々よりは、選考委員の好み、話題性等々の他の要素が加味される場合が多いように思えて、受賞後には作品を余り見かけなくなった「作家」になり損ねている人もいます。

それに比べると「直木賞」は既に、作品を書き続けてきた作家の作品に贈られるので、力量は十分。

とは言え、直木賞受賞のニュースを聞いても、私など、未読の作家も多く(当たり前ですが)この機会に、名前と作品を再確認させられることも多いのです。

が佐々木譲氏は、先日「笑う警官」を劇場で観て、その前にはテレビドラマで「警官の血」も観ていたので、氏の描く、組織としての「警察」と個人としての「警察官」との軋轢、葛藤には面白さを感じていて、同じ年代の北海道にひっそり(?)と住む、この作家の、今度は作品も読んでみたいと思っていた矢先の受賞でしたので、何やら、一人、嬉しくなっていました。

「笑う警官」・・・タイトルがねぇ〜〜


もし、この映画が大森南朋主演じゃなければ、決して足を運ばなかったでしたね!
これが、タイトルとは裏腹で面白かったのでした。
大森南朋は「ハゲタカ」でブレイクする前の「チョイ役」で画面に出ていた頃から好きでした。

彼が、映画上でサックスを吹く場面には、不自然さがあるとの評も見受けられましたが、私的には「さま」になっていると思いました。
ホイットニー・ヒューストンの主題歌も良かった!

テレビドラマの「警官もの」は「カッコ良い」推理抜群の刑事が活躍するものが多いですが、佐々木氏の書きたい世界は「犯人逮捕」や「事件」そのものでなく、「組織」との戦いであるところが惹き付けられます。

映像から作品へと関心のベクトルが向いた矢先の受賞でした。

白石一文氏の受賞を知った時に、思わず自分の本棚を探しました。
画像

確か、途中で頓挫した本が1冊あったはずだと。
この分厚い本を買ったのは2006年。
帯に「これが2006年の涙です」と書かれていて、確か、買った動機は「児玉清氏絶賛」とか「号泣」とか書かれてあるのを見たからなのでした。
最近は、所謂恋愛小説は余り読まなくなったのですが、ミステリー好きな児玉さんが絶賛!?
どうも、ミーハーですぐ他人が絶賛する本=それも、その絶賛している人が自分が好意を持っている人達だったりすると、それなら!とその気になってしまうのです。ホント、単細胞で・・・

で、分厚い「涙が流れる」この本は読了せぬまま、本棚に押し込まれたままになっていたのでした。

で、改めて、白石一文氏を、こんどは、本腰を入れて読んでみましょう!!

昨年のブログサボり癖は、新しい年に入ったのを機会に、チョット体勢を立て直そうと思いつつも、日々の生活、様々な雑多な感情=苛立ちや、腹立たしさ、焦り、諦めなどなど・・・の細かな感情に一日が終わるとドップリと浸かりきってしまったようで、水分を十分に吸い込んだスポンジのように体も心もズシンと重くなってしまっています。

まぁ、そんな生活の隙間には「面白く」「楽しい」本や映画が慰めですが・・・

昨年の手帳の「メモ」欄を捨てようとした時に「中村文則」とだけ書かれているページがあり、???でした。
気になる作家の名前をメモしたのでしょうが、何で気になったのか?
いつメモしたのか?
で、作品を読めば、何か思い出すかなと、書店へ出向き、最新刊「掏摸」=スリ を読みました。
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掏摸を「スリ」とは読めないし、書けませんでした。

何故か知らないのですが、もっと年齢が上の人かと思ったのですが(「土の中の子供」で芥川賞を受賞されたのは知っていました)1977年生まれと知って、ビックリ!何故ビックリ?

「掏摸」は、タイトル通り、スリを生業とする男の話です。
幼い娘にスーパーで万引きをさせようとする売春を生業をする女と、そのヒモの男。
スリの男を「危ない仕事」に誘い出す仲間。
闇の仕事に係ってしまうのです。
社会からは、弾き出された男、女、幼い子供、闇に君臨する男ども。
こんな人々が書かれている「掏摸」ですが、面白いのです。
面白いというよりは、人間がこんな悪の「穴」に落ちてしまっていても、「小悪人」なりの「哲学」があることが妙な共感を受けるのです。
絶対に金持ちからしかスラないと言う哲学(?)は先日観たジョニー・デップ主演「パブリック・エネミーズ」の「奪うのは強者からの汚れた金」という銀行強盗にも通じる「悪の哲学」

日々の自分の日常とはかけ離れた世界。そんな世界を映像と文章の隙間から、樹液を吸うように、ひび割れた体と心に潤いを与えているようです。

今夜の食卓は昨夜、煮込んでおいた「大根と豚バラのべっこう煮」
12日放送のNHK「きょうの料理」から。

画像

掏摸
河出書房新社
中村 文則

ユーザレビュー:
ボリューム的には中編 ...
今ひとつ。主人公・「 ...
圧倒的なスケール感、 ...
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コメント(10件)

内 容 ニックネーム/日時
おいらは佐々木譲の本は結構読んでるぜ。でも白石なんとやらは知らねえな。今日はこれから要害山に行って来るよ。
赤鬼
2010/01/17 05:56
赤鬼さま
先夜はすっかり酔っ払ってしまいました<m(__)m>
さて、佐々木 譲を読んでいらっしゃるなんて、さすが赤鬼さまですね。
直木賞など取らなくても、知名度、ファンは多かったのでしょうが、私など、やはり映画から入って、興味を抱いた矢先の氏の受賞だったので、こうした俄かファンにとっては嬉しい人との出会いでした。
白石一文は、多分、赤鬼さま好みではないと思いますが・・・
17日、ようやく遅ればせの「初詣=弥彦」に行ってきました。
お天気で風もなく、良い弥彦日和でした。
「要害山」って、私も名前はよ〜く知っていますが行ったことはないのです。今度、行ってみましょ!
noritan
2010/01/18 04:08
noritanさま
漸く弥彦行って来たようだね!
近頃全く本を読まなくなってきたので。これではいかん!
と、昨日坂井輪図書館で1時間ほど物色したけど、読みたいような本が殆ど無かった。暫らくしたら見た顔が!鬼さんだったyo。
輝ジィ〜ジ
2010/01/18 12:31
はい。皆に遅れること、ようやくに「初詣登山」してきました。
図書館に実際に行っても在庫の中から読みたい本はなかなか見つからないと思いますヨ!
私の読書のベクトルは書評番組や書評誌、好きな作家が影響を受けたとか、好きだとか、そんな周辺からの興味で手にしています。
つまり、ミーハーなのです。
noritan
2010/01/19 14:53
遅ればせながら、今晩は。
良く本を読んでいますね。かなり文章も上手いし、その内小説書いてみたら如何でしょうか。
児玉清さんはすっかり、本の評論家のようです。先日も本屋で児玉さん一番お勧めの本、藤沢周平の「蝉しぐれ」なんてポスターがありました。
良い本を読むと私自信も何か幸せになったような気がして、心が温かくなります。先日の本はそんな気分になりました。短い小説でしたので既に読み終わり、次はブックオフで100円で買った文庫本小川未明の童話集と辻まことさんの「山からの絵本」を読んでいます。
インレッド
2010/01/21 22:12
インレッドさま
訪問ありがとうございます。
私など、「山」も「読書」もとても皆様の足元をウロウロしている有様です^_^;
児玉さんは私の好きな番組(自分では決して、書店店頭では見つけ得ない本をしる最高の番組)の司会をしていて、その司会振りも、書評も好感が持てる方です。
なので、氏のお薦めなら!とついその気に。
辻まことさんは、良いですね!
エッセイ、山の絵など、最近は遠のいていますが、ほのぼのとさせられますよね。
小川未明は新潟県に縁は深いのに、サッパリ読んでいません。
山記事がない時には、食べ物、本、映画ネタです。
noritan
2010/01/22 11:09
あっしも「推理小説」、「警察物」、はーどボイルド系が好きな活字中毒出、この作者の本も大好きです。

「笑う警官」・・。  この「笑う」・は「白状する、暴露する」・・と言う意味なのを、最近知りました。

是非読んでみたいと思っています。

最近は「不景気」で、新刊は、全く買う余裕なく、
「ネット中古書」・・でしたが、最近、更に「市立図書館」・・の、お世話になっています。

昨日亡くなった「清水一行」も好きでした。
師匠
2010/03/24 17:36
師匠さま
コメントありがとうございます。
最近はブログ休止状態のところ、訪問感謝致します。

先日、NHK[週間ブックレビュー」で佐々木 譲氏は出演されていましたね。
直木賞受賞された「廃墟に乞う」も手元にあるのですが、まだ未読なのです。
警察対犯罪はありきたりですが、警察の組織対警察官個人の軋轢を書いているところが好きですね。
その内に感想を書きたいと思っています。
清水一行さん、亡くなりましたね。
とは言うものの、私は余り読んでいませんが・・・
noritan
2010/03/25 02:52
佐々木譲の作品はずいぶん読んでいます。組織対個人の葛藤がいいのですが、『廃墟に乞う』はかなり毛色が違っていて私としては感心できませんでした。ちょっと厳しい感想を書いてしまいました。『笑う警官』はもともと『歌う警官』<裏切りの内部告発者>だったようです。私のブログでは原題のもので書いてありますからTBしてみます。なお大作ですが『警官の血』はお勧めです。
『掏模』は死に向かうことに美を感じるようなところ、暗すぎました。
お久しぶりです
2010/04/05 15:37
よっちゃんさま、コメントありがとうございます。
いつも、精読の読後感を拝読させて頂いております。
佐々木 譲は、映画、ドラマでしか接していなかったのですが、直木賞受賞を機会にNHKのブックレビューに出演されたのを見て、それならば、受賞対象作品を読んでみようと、「廃墟に乞う」は手元にあるのに、未だ未読なのです。同年代、苦労人、地方人ということにも惹かれます。
私は、暗い!中村文則は好きなのです。
若いにの、何が不服でこんな暗い小説を書くのだ!(笑)って感じで、暗いのは好きです!
noritan
2010/04/07 02:48

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