のりこの山と本の記録

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zoom RSS 【肝心の子供】

<<   作成日時 : 2009/08/12 10:17   >>

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第141回芥川賞磯崎憲一郎「終の住処」に決まったと知り、経歴などを知って、読みたくなりました。


若くて、チョッと可愛い女性、或いは、最年少と言う形容詞が冠した若者の受賞は話題性はあるが、たいてい、読んでみると、その将来性を見通す気が萎えてしまうことが多い。

40代で、商社勤務を継続しながらの作家活動開始。
好きな作家にガルシア・マルケス、小島信夫を挙げていて、これらの作家は、難解ながらも、我が本棚にもあるので、このような男の書く小説を読んでみたいものと思ったのです。

で、まだ、著書も少ない内に、まずは文藝賞を受賞された作品「肝心の子供」を読みました。

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ブッダにはラーフラ、束縛という名前の息子がいたのだが、名付けたのはブッダではなくその父、スッドーダナ王だった。その名を思い付いたとき、スッドーダナ王は、大いに喜んだのだという。<

から始まる、ブッダ、ブッダの子供ラーフラ、ラーフラの子供ティッサ・メティアの3代の物語。

106頁なのですが、紙質も厚くて、頁を繰るときには、2枚かしら?と指でこするほど、Wordで行間2にしたように広い行。

なのに、端折って書かれている感じもせず、丁寧な静かな清流が高みから自然の傾斜で静かに流れるような文章でした。
壮大なブッダ親子3代の話なのに、こんなに、ある意味ではコンパクトにまとめられてはいますが、さすが!ガルシア・マルケスを敬愛されている方だなぁ〜と久々の期待感が持てる作家誕生の萌し。

受賞作に辿り付くまでに他に2冊あるので、図書館に早速予約です。

先日、2百数名待ちでようやく、順番が廻ってきて、手にした「悼む人」は、この場でこんなこと言ってしまって良いのか、どうか?
私には、言わんとすることの真髄に辿り付けない。
「愛」という言葉の大安売りみたいで・・・
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愛を「愛」と言う、哀しいを「哀しい」という語彙でしか表現できない文学には、感動するものは得られない。
感想を書くまいとも思いましたが、対比の意味で。

P44
>水色の服を着たラーフラはすぐ横の芝の上に尻をついて、足を投げ出して座り、正面の何かに気を取られながら、、口に苺をふくんでいた。と、口から唾にぬれた赤い実を取り出し、振り返ってブッダに微笑んだ。小さな子供はすでに風景の側の存在だった。<

そのとき何ものかが近づいてきた。音だった。・・・・<

P83
そもそも肝心の子供はどこにいるのか?
ラーフラが奴隷のような行きずりの女サリアとの間に出来た子を見るためにその小屋へ行った。
子供は泥のように、藁と一体化したようにそこに在った。
そんな風景が、淡々としてはいるけれど、重さを充分に温存した言葉でつづられているのです。

三井物産に勤務しながら、こんな文章を練りだせるとは!怖ろしい洞察力です。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
三井物産の現役サラリーマンで屈託なく働いている人物とは思えないものの見方をする人ですね。『終の住処』でもかなり達観した人生観がうかがわれ、私のようにサラリーマンを一通りこなして65歳が過去を振り返るとこんなものかと通ずるところがありました。たいした洞察力だと思います。
よっちゃん
2009/09/16 12:28
よっちゃん様
コメントありがとうございます。
磯崎氏の出版されてある本はみんな読みました。
今後の作品も楽しみです。
長編を書いたら、どんなに重厚で底の深い内容になるのでは!と期待が持てます。
磯崎氏の洞察力の深さも、やはり、小島信夫や、カフカ、ガルシア・マルケスらによって培われたものなのでしょうね。
noritan
2009/09/16 23:50

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